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曲追加(世界が滅ぶまで)

音倉庫に一曲追加、タイトルは「世界が滅ぶまで」

http://mangetsu.himegimi.jp/music/



・歌詞を考えながら曲を作ってみようという実験

使用ツール:cherry1.4.3



11/4 フレーバーテキスト追加
【フレーバーテキスト】

リョナ分無し、酔狂な人はどうぞ。



【タイトル:世界が滅ぶまで】



PM 11:00



とある研究室、

大学内でも変わり者として有名な

僕と先輩の最後の会話。



「ねえ、加藤君」



それは突然のカミングアウトだった。



「…いくら憲法で内心の自由が認められているといっても」



僕の先輩、"水田つたえ"は、



「…心の中で私を虐めすぎないでよね」



超が付くほど不思議な女性で、



「…私、加藤君の心が見えるんだから」



超能力者だった。





ひた隠しにしてきた猟奇趣味を言い当てられた僕は、

砂糖をたっぷり含んだ紅茶を派手にキーボードにぶちまけた。



「……かっ、考えてませんよ」

僕は平静を装いつつ答える、

きっと先輩は僕にカマをかけているに違いない。

「ん?」

「僕のような紳士の中の紳士(ダンディーオブダンディー)は、そんな酷いこと考えません」

「むう、加藤君の分際でシラをきりますか」

「僕はいたってノーマルですよ、八百万の神に誓って!」

お米の神様やお鍋の神様ごめんなさい。

僕は嘘つきでアヴノーマルです。



先輩はちょっとすねた、

「せっかく私が超能力者だってカミングアウトしたのに…」

机に"の"の字を書きながら先輩は続ける

「 加藤君はちっぽけな性癖も教えてくれない…」

先輩…僕は結構でっかい性癖だと思います。



いや、そんなことよりも突っ込みどころは別にある。

「いや、まず先輩は超能力者じゃないでしょう?」

「いやいや、いつものようなジョークじゃなくて、今回は本当だよ」

「いやいやいや…」

先輩、今度はどんな漫画に影響されたんだろう…



「むうー、信じてないな」

「つい最近、『私の前世はそら豆だ!』とはしゃいでいた先輩を、そうそうは信用できません」

「じゃあ証拠に、さっき君が考えていた空想を克明に描写してあげる」

「どーぞどーぞ」

「いいの?加藤君。言っちゃうよ?」

一瞬びっくりしたがこれで化けの皮が剥がれるだろう。

さっきの出来事は単なる偶然だ。

まったく、先輩は時々妙に核心をつくから困る。



「私を後ろ手に縛り上げてー」



「足を杭で地面に固定してー」

!!

「硫酸で背中を…」

!!!!!!!!



「ちょっ、ちょっとまって!えっ、なにこれっ、夢っ!?」



先輩はいままで僕が見た中で一番素敵な笑顔で言った。



「信じてくれた?」



…数分後



僕は鼻にティッシュペーパーを詰めながら先輩と話していた。

「…まったく、いいパンチをもらっちまいましたよ」

「てへ、メンゴメンゴ♪」

僕は今日、一つ賢くなった。

夢かどうか確かめたくても、「殴ってくれ」とは言ってはいけない。

今度から「つねってくれ」と言おうと思う。



「…で、なんでいきなり超能力者だとカミングアウトしたんですか」

「…」

「まさか、そんな重要なことを "なんとなく" とかないですよね」

先輩ならありえる気もするが。



「…時間が」

「?」

「…時間が無かったのよ」

先輩は先ほどとはうって変わって沈痛につぶやく。



「明日、私は死ぬわ」



「どういう意味ですか?」

「私は明日死ぬの」

「いや、だからもう少しわかりやすく・・・」

「私は明日殺されるの」

「ですからちゃんと順を追って…」

「そういう未来が視(み)えたの」

「はあ・・・」

「避けようの無い未来が」

「未来視(みらいし)…ですか?」



先輩はコクリと一つうなずいた。



「加藤君に伝えておきたいことがやまほどあって」

「…」

「加藤君に聞いて欲しい事がやまほどあって」

「…」

「加藤君に少しでも私の本質を知って欲しかったから」

「…」

「だからよ」



先輩がテレパスだと言うことは理解したが、未来視は本当だろうか?

嘘を言っているそぶりはないが…。

「…未来視が外れるってことは無いんですか」

先輩は首をふっていった。

「…だったら、いいわね」



先輩は静かに続ける、

「私はね、死んだら人は無になると思っているの」

「ええ」

「少なくとも、死んでしまってこの世界の観測ができなくなれば…」

「…」

「その人の世界はそこで終わり」

「ええ、僕もそう思っています」

「うん、…知ってる」

先輩は悲しそうに微笑んだ。

「加藤君が私と同じように死に尋常じゃない恐怖心をもってることを」

「…」

「癌患者なみに"死"について考えているのは…」

「…」

「私だけじゃ無いってことを」

「…」

「そして、君のジョークや猟奇的な空想が、死への恐怖の裏返しだってことを」

その言葉で、僕は先輩が超能力者なのだと改めて感じた。



「君が私を殺す空想が好きだった」

「…」

「私を汚そうとする空想はたくさん見たけど、壊そうとする人は初めてだったから」

「…」

「それに、その空想に私への純粋な好意を感じたから」

「先輩」

「何?」

「先輩って歪んでますね」

「むう、加藤君に言われるのは納得いかないなあ」

「それもそうですね」



PM 11:50



「っと、そろそろ帰らなきゃ」

「大丈夫ですか、送りましょうか?」

「…いや、いいよ。でもちょっとこっちに来て」

僕は言われるままに先輩に近づく、

「加藤君に呪いをかけます」

「呪いですか?」

「呪いですよ♪」



そういうと先輩は僕の後ろに回りこみ首を抱きしめて囁いた。



「私の世界は滅ぶけど、あなたの世界に私を残す」

「どんなに月日が過ぎても、どんなに魅力的な人が現れても」

「あなたは私を壊し続ける」

「あなたの世界が滅ぶまで」



「…じゃあね」



そういうと先輩は大きく手を振ると小さく微笑み、そして去っていった。

あいかわらず、変わった人だ。

人のことは言えないが。



今はただ、先輩の未来視が気のせいだったということを願おう。



AM 00:00



ぼんやりと思う、

先ほどの出来事は夢だったのではないだろうか?



そんなことを考えながらボーっとしていると

不意に目の前が暗転した



(月明かり)

(風が心地よい)



(衝撃)



(お腹)

(熱い)

(膝を突く)

(熱い)

(撃たれた?)

(熱い)

(振り向く)

(熱い)

(黒い男)

(熱い)

(満月)

(熱い)

(手に何か持ってる)

(熱い)

(熱い)

(!!)







「ッ!」

呆然と蛍光灯を見上げる。



白昼夢のような一瞬の出来事。

僕は思念を受け取った。



疑いの無い感覚で、

先輩の死を受け取った。



【エピローグ】



先輩の葬式はしめやかに行われた。



研究室には僕一人、

携帯テレビが一人の寂しさを紛らわす。



先輩の存在は、あっというまに空になり、

すぐに話題にのぼらなくなっていった。



残ったものは、ただ呪いのみ。



先輩の呪いは僕の心に深く深く絡みついた。

僕はきっと、先輩を心の中で壊し続けるだろう。





僕の世界が滅ぶまで。









---次のニュースです。



超能力犯罪を未然に防ぐために制定された、

「超能力者早期対策法」が先日施行され、

全国で28人ほどが処罰を受けました。



6月の「高層ビル念動倒壊事件」をはじめ、

超能力犯罪の被害者は今年だけで5万人を越えています。



この法律により、超能力犯罪の多くは未然に防がれ、

日本はより安全で住みやすい国になるでしょう。



一方この法律について「非人道的だ」「人権を尊重していない」などと

各地で反対のデモが行われています。



これに対して政府は態度を崩さず、

「危険思想を持つ人物やコミュニティも取り締まるべきだ」と主張し、

「猟奇思想早期対策法案」を次回の……





【あとがき】

紙芝居形式でつくろうと考えていたシナリオを無理やり歌詞に合わせてまとめました。

なんだかいろいろ伝えきれていない部分が多い気もしますが気にしない。



【豆知識】

ソラマメの花言葉は「憧れ」



【歌詞】

世界が滅ぶまで愛して           |    サビ

私が狂うまで壊して                |

悲しいことが多すぎて            |

生きて行くのが辛い時こそ    |



青い空が君には高すぎて

世界という檻で静かに震えてる



いつか辿る絶望よりも

今は希望を歌いましょうよ

逃れられぬ未来よりも

今はこの日を焼き付けて



私だけを思っていれば

私はそれで満足よ

あなたの心に入れるのなら

そこが地獄でも構わない



サビ繰り返し×2

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